意外とやりがち⁈ PDCAサイクルの3つの失敗事例

皆さんはPDCAサイクルを意識して仕事をされていますか?

私がPDCAサイクルを知ったのは今から15年ほど前のことです。当時の上司から教わりました。

それからというもの常にPDCAサイクルを意識して働いてきたのですが、PDCAサイクルを知ってから周りの人たちを観察すると、あまり上手に活用できていない人がたくさん存在していることに気づきました。

もちろんその人たちはPDCAサイクルのことを知っています。しかしただ知っているだけで意識して活用していないのです。

私は小売業(CD販売、ドラッグストア)で20年ほど働いていたので小売業中心の話になりますが、PDCAサイクルを知っているのに上手に活用できている人はほとんどいませんでした。

そこで今回はPDCAサイクルを上手に活用できていない失敗事例を3つご紹介しようと思います。

皆様がこれからご紹介する失敗事例を知ることで、同じ失敗をすることなく、しっかりとPDCAサイクルを活用できるようになることを願っています。

PDCAサイクル

失敗事例の話にはいる前にPDCAサイクルについて軽く説明しておきます。

PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Act(改善)」の頭文字をつなげたものです。そしてPDCAの並び順に行動をし、それを何周も繰り返すことで質を改善し、また向上させます。

※「A」を「Action」とする場合もありますが、この記事では「Act」にさせていただいてます。

とても汎用性が高いので、様々な仕事で活用することができます。

私の場合は、主に売場作り(CD販売だと平台にどのアーティストのCDを置くかなど)で活用してきました。

具体的には――

平台の計画書を作成し(Plan)平台にCDを並べ(Do)どれくらいCDが売れたのかを調べ(Check)そのデータを参考にして翌週の平台の計画書を作成する(Act)という流れです。

このあとにご紹介する失敗事例で、上記のPDCAサイクルを例に説明しますので覚えておいてください。

それでは説明はこれくらいにして、そろそろ失敗事例の話にはいります。

思いつきの「D」

失敗事例の1つ目は、思いつきの「D」です。このケースは、この平台にはこのアーティストのCDを置いたほうが売れるなどと突然思いつき行動(「D」)します。

この行動を起こしやすいのはベテランのスタッフなどです。経験を豊富に積んだスタッフによく見られる行動でした。

過去の経験から思いついて行動しているため、実際に売れることもあります。

しかし問題なのは、思いつきなので「P」が存在しないということです。「P」が存在しないと「C」を行うことができません。

計画書を作成すること「P」と確認すること「C」は繋がりを持っています。例えば思いつきで置いたCDが売れたとしても、もともとその平台に置く予定だったCDが売れなくなってしまったら、思いつきの行動がよかったのか悪かったのか判断しづらくなります。

そして思いつきの行動なので、もともと置く予定だったCDのことなど端から頭にないことが多いです。そうすると思いつきで置いたCDの「C」を行うことはできても、もともと置く予定だったCDの「C」を行うことは不可能ということになります。

思いつきの「D」の前にしっかりと「P」を行っていれば、このような事態を避けることができます。もともと置く予定だったCDという概念がそもそもないからです。

思いつきの「D」をするだけで、PDCAサイクルを活用できなくなるのでやらないようにしましょう。

感覚だけの「C」

2つ目の失敗事例は感覚だけの「C」です。このケースは、売れた売れていないをデータではなく、感覚だけで捉えようとするものです。

よくあるのが、平台に置いたCDをレジに持ってきたお客様が多かった=たくさん売れているという感覚です。

この感覚が正しいこともありますが、実際にその日に売れたCDの販売実績を見たときに、1番売れたと思っていたCDが実は2番目だったということもあります。わずか数枚の差だと、正確な実績を感覚だけでは把握することはできません。

感覚だけの「C」だと次の「A」を誤って行う可能性もあり、PDCAサイクルを活用しても改善することができなくなる危険をはらんでいます。

「C」は感覚ではなく、正しいデータをもとに確認するようにしましょう。

ほとんど行われない「A」

ここまで「PDCA」の文字の並び順で、失敗事例を紹介してきましたが、実際のところ「C」までたどり着いた人を見かけたことは皆無です。

したがって「A」を行っている人を見たことはもっとありません。

経験をもとにした感覚で売場を作っている人はもとより、陳列のゴールデンゾーン(ゴールデンライン)とかアイドマの原理などの知識をもとに売場を作っている人ですら、「C」を行う人は少なかったです。

「この商品をこの場所で展開したら売れるようになった」という話は聞こえてきても、「この商品をこの場所で展開したら、もとの場所で展開したときよりも3倍売れるようになった」というような話はほとんど聞いたことがありませんでした。

さらにいうと「この商品をこの場所で展開したら3倍売れるようになったけど、5倍売れるようにするためにこの場所でこういう訴求をしてみよう」という話は、20年ほど小売業に身を置いていましたが残念ながら一度も耳にしたことがありませんでした。

つまり「A」の重要性を理解していない人、PDCAサイクルの2周目を行わない人が非常に多く存在するということです。

まずは「C」をきちんと行って「A」までたどり着き、PDCAサイクルの2周目にはいれるようにしましょう。

まとめ

PDCAサイクルにありがちな3つの失敗事例をご紹介させていただきました。

今回ご紹介した失敗事例と同じ失敗をすることなく、皆さまがしっかりとPDCAサイクルを活用できるようになることを願っております。

それでは、また!