右利きが知らない左利きの話

普段あまり意識していないですが、ある時ふと「あ、この人左利きだったんだ」って気づくときはないですか?

私自信が左利きなこともあり、気づいたときは仲間を見つけた気分になり嬉しくなります。

ところで左利きって日本の人口の何割か知ってますか? あまり見かけないので少なく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は人口の1割は左利きなんです。10人に1人の割合なので、30人のクラスだと3人は左利きですね。想像よりも多くはありませんか?

それでも9割は右利きなので、世の中は右利きが使いやすいように造られています。例えばハサミ。左利き用も見かけますが、私は右利き用を使ってます。というのも左利き用のハサミの存在を知るよりも前に、右利き用のハサミの使い方をマスターしたからです。

その他、缶切り、カッター、定規、包丁なども世の中に出回っている物は右利き用です。その中でも特に缶切りが使いにくかったです。(右利きの人は一度左手で缶切りを使ってみてください。おそらく手こずると思います)

では左利きは苦労しているのかと言われると、それほどでもないです。子供の頃から右利き用を使っていると、最初は使いづらくてもやがて普通に使うことができるようになるからです。

また左利きは器用だと言われることがありますが、左利きは右利き用をなんとかして使えるように工夫する傾向があるため、気づかないうちに手先が器用になっているからそう言われるのかもしれません。

さてここからは私の子供の頃の話になります。最近は左利きの子供を尊重し、右利きに矯正する親が減ったという話を耳にしますが、私の親は右利きに矯正するタイプでした。

なので、子供の頃は徹底的に箸と鉛筆を右で使えるように矯正させられました。そのため鉛筆は今では右で書くようになりましたが、箸は右で使えるようになる前に、私が食事を嫌がるようになったため諦めてくれました。

こうして私は箸は左、鉛筆は右で使うようになったわけです。食事しながら文字を書けます!(役に立ったことはありませんが)

あとこれは大人になってから気づいたのですが、消しゴムって多くの人は利き手で消すみたいですが、私の場合は利き手が左なので、いったん鉛筆を置いてから消しゴムを使わなくてもいいのです。(鉛筆は右、消しゴムは左ということです)非常に地味な特技ですが、鉛筆を置いて消しゴムかけている人を見ると、少しだけ優越感に浸れます!(あまりにも地味すぎて自慢になりませんが)

矯正の話に戻りますが、結局私は鉛筆のみ矯正されただけでしたが、矯正というのは脳にとってあまりよくない行為のようで、大人になってから「これは矯正されたからではないのか」ということがいくつかありました。

まず右と左が一瞬わからなくなることがあること。道案内や車の助手席でナビをするときなど、咄嗟に右なのかと左なのかがわからなくなるということです。

これは子供の頃に「お箸を持つのは右、お茶碗を持つのが左」と教わったことが影響しているのだと思います。当然ながら左利きだと「お箸は左、お茶碗は右」になるため、頭の中で反転する必要があります。そのためどの方向なのかは認識していても、それが右なのか左なのか言葉として出てこないというわけです。

また頭の中に言わなければいけない言葉を浮かべると言えなくなるということがあります。どういうことかというと、私が以前接客業をしていたときお客様に「ありがとうございます」と言う機会が多かったのですが、「ありがとうございます」と言おうと頭の中で思うと言えなくなるのです。

10代の頃に初めて接客業をしたときにこのことに気づきました。しかしなぜ言えないのかがわからず、このことはずっと私の中で疑問だったのです。ところがそれから10年以上経ったあるとき、一緒に働いていた年配の方の話を聞いたときに合点がいきました。

その年配の方も私と同じ矯正された過去があり、さらに私と同じく「ありがとうございます」が言えなかったのです。その年配の方が言うには、なぜ「ありがとうございます」が言えないのかというと、言わなければいけないと思った時点で脳が混乱するためだということです。

「ありがとうございます」は「いらっしゃいませ」とは違い、言うタイミングがお客様によりバラバラです。「いらっしゃいませ」は入店されたとき、レジカウンターに商品を持って来られたときに言うので、頭の中で言わなければいけないと思う暇がありません。しかし「ありがとうございます」はお客様がレジを離れるタイミングで言うため、頭の中で言わなければいけないと思ってしまう時間が発生しやすいからだそうです。

そのためその年配の方はレジに「ありがとうございます」と書いたメモを貼っていました。そのメモを読みながらだとすんなりと言えるからです。私も同じようにすると、あれほど言えなかった「ありがとうございます」が言えるようになりました。読みながらだと言えるのです。不思議ですね。

というわけで、右利きが知らない左利きの話をさせていただきました。最後の「ありがとうございます」の話はよくわからなかったかもしれませんが、もし身近に同じような人がいれば温かく見守ってあげてください。映画の「英国王のスピーチ」みたいな話です。

それでは今回はこのあたりで!

PVアクセスランキング にほんブログ村